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本当に、なぜだろう。
自分でもよくわからない。
「何が?」
「……君はずるいな」
胸が苦しい。
黙りこむ俺の背に
やがて細い手が回り
そろりと撫でてきた。
慰めるように。
胸の苦しみは増すばかり。
たまらなくなって
更に俺は
目の前の身体を抱きしめる。
折れてしまいそうなほど。
それでも彼女は
何も言わずにただ
俺の背を撫でていた。
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