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リースに背を向けると、村の方へ歩き出す。これ以上仮面野郎について考えたって意味ないしな。
「シグさん!」
背中から声がかかり、足を止める。
「あ、あの、また明日からよろしくお願いしますっ!」
いい答え。そんな言葉が言えるならリースは大丈夫だな。
オレは返答代わりに手をひらひら振ると、また歩き出した。
歩きながら、リースの涙が混じった酒の器をぐいっと傾ける。うむ、苦い。
だが苦いのも道理。それが人の命というものだ。
悟ったことを言っているようだが、オレもまだ二十年かそこらしか生きてないんだけどね。
* * *
翌日、オレたちはこの村を出発する予定だったのだが、出発は見送りになり、もう少しこの村に留まることになってしまった。
また新たな問題が起きた? 村人にずっと居てくれと懇願された?
否、違う。
「頭が痛いよぅ、気持ちが悪いよぅ、えーんえーん」
宿のベッドの上でうつ伏せになって転がり苦しむリース。
なんと、昨日飲んだたった一口の酒で二日酔いになってしまったらしい。
「……師匠、反省してほしいッス」
「……大人としてどうかと思う」
ユイファンとフィオの二人にじとっとした視線を送られ、心当たりのあるオレは部屋の隅でじっと正座をしているしかなかった。
うん、あれだな。
飲酒強要ダメ、ゼッタイ。
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