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どうも人間というのは本質的に刺激を求める生き物らしい。
退屈な日常に飽き飽きしてくると、ある者は酒を飲んで憂さ晴らしをし、ある者は仲間内でのカード勝負に熱を入れる。
しかし中にはそのちょっとした刺激にも飽きてしまい、さらなる刺激を求めずにはいられなくなってしまう者もいる。
そんな奴らにとっては、この刺激に溢れた街はまるで楽園だろう。
街のあちこちには賭場が置かれ、中央には賭け闘技場もある。夜になればあちこちでショーが開催され、ムチムチのねーちゃんたちが胸やら尻を男共にこれ見よがしに曝け出すのだ。
退屈とは無縁の街。まるで毎日宴が開かれているような活気から、このコーラリアは饗宴都市と呼ばれている。
「うわー、さすがに人が多いッスね」
中央を抜ける大通りを歩きながら、ユイファンが目を丸くする。
大通りなだけあって人の往来は激しく、歩いていれば常に誰かと肩をぶつけるような状態だ。
「だったら夜になればもっと驚くぞ。ここにいる奴らが全員騒ぎ出すからな」
「ひえ~」
そう、この街は夜からが本番なのだ。
この街を訪れた者の大抵は、夕方から酒をかっくらった後に賭場に行く。勝てば女の肩を抱いて夜の闇に消え、負ければ涙を飲んでついでにまた酒を飲むのだ。
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