第1章

4/6
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
千晃Side. 校庭。 大好きな彼に言わなきゃいけないことがある。 何も知らない彼は、にこにこして歩いてる。 どうしよう。ホントは言いたくないよ… でも。 「あたし、真司郎と付き合うことになったから。」 できるだけそっけなく言う。固まる彼。そして… 「ごめんね。別れよう。」 これでいいんだ。誰にも迷惑をかけない。 泣きそうだったからすぐ逃げてきた。 本当は追いかけてきてほしかった。つかまえて抱きしめてほしかった。 ほら。あたしは弱い。もう後悔してる。自分でこうするって決めたことなのに。 涙が溢れ出す。今は、戻ってホントのキモチを伝えることもできない、ただの弱虫になっちゃった。彼がいないと、何もできない。 「隆弘…」 名前を呼ぶことしかできなくて、さみしくて、あたしは誰かを利用する。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!