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何だろう、彼女が居るって知ってから、私は露骨にアイツとの距離を遠ざけた。
もちろんショックだったし、単純に傷付いていたからね。
結局、弟と同じように、私を妹みたいに見ていたのだろうか。
いつの間にか好きな人に変わっていた私とは、全く別で。
いつの間にか世話を焼きたいだけの、ただのお兄ちゃんヅラしたかっただけのアイツ。
そんなもの要らないのに。
私の避ける態度で、アイツも気が付いたみたい。
最初は様子伺いで、私が帰宅するのを公園の前で待っていたりして居てくれていた。
私は遠くからそれを見て、遠回りして帰っていた。
弟から預かったメモ書きも、捨てていた。
本当は全部、嬉しかった。
私の事を考えてくれていた事が。
やっと私に、アイツの意識が向いてくれたんだって。
だって…。
本当はずっと昔から、アイツの特別で居たくて。
本当はずっと昔から、アイツの事が大好きで。
本当はずっと昔から、アイツの心が欲しくて仕方なくて。
でも、なのに、いざってなると。
聞かなくてもいい事を、わざわざ聞いたり。
言わなくてもいい事を、わざわざ言ったり。
強がったり、無視したり、傷付けたり、怒らしたり、悲しませたりして。
やっぱり昔からアイツには素直に言えないんだ。
《ごめんなさい》
ってね。
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