2…思い出

4/9
前へ
/221ページ
次へ
何だろう、彼女が居るって知ってから、私は露骨にアイツとの距離を遠ざけた。 もちろんショックだったし、単純に傷付いていたからね。 結局、弟と同じように、私を妹みたいに見ていたのだろうか。 いつの間にか好きな人に変わっていた私とは、全く別で。 いつの間にか世話を焼きたいだけの、ただのお兄ちゃんヅラしたかっただけのアイツ。 そんなもの要らないのに。 私の避ける態度で、アイツも気が付いたみたい。 最初は様子伺いで、私が帰宅するのを公園の前で待っていたりして居てくれていた。 私は遠くからそれを見て、遠回りして帰っていた。 弟から預かったメモ書きも、捨てていた。 本当は全部、嬉しかった。 私の事を考えてくれていた事が。 やっと私に、アイツの意識が向いてくれたんだって。 だって…。 本当はずっと昔から、アイツの特別で居たくて。 本当はずっと昔から、アイツの事が大好きで。 本当はずっと昔から、アイツの心が欲しくて仕方なくて。 でも、なのに、いざってなると。 聞かなくてもいい事を、わざわざ聞いたり。 言わなくてもいい事を、わざわざ言ったり。 強がったり、無視したり、傷付けたり、怒らしたり、悲しませたりして。 やっぱり昔からアイツには素直に言えないんだ。 《ごめんなさい》 ってね。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加