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思わず一人で公園へ行って、ブランコをこぎながら、深呼吸だけして。
私の愛しの永田 昴お兄ちゃんへ電話を掛けた。
コールの間は、ずっと緊張しっぱなし。
「はい、もしもし」
うわぁ…久しぶりに聞くコイツの声は、以前よりも低くて甘くて、しかもやっぱり感じが悪い。
「あの、もしもし?永田 昴さんですか?」
「そうだけど、誰?」
「いやだね、この人。私に携帯電話の番号を教えておいてくれだなんて人伝えで言っておいて、その返しはないべ。相変わらず冷たい男だねぇ」
私は舞い上がってしまい、ブランコから降りて、直立不動でペラペラと喋る。
「ってか、おまえはまさかの黒沼 トシコか?」
おい、まさかってなんだよ。
「おまえから俺に連絡して来るとは、どういうこった?相変わらず虫のいい女だな」
偏屈を垂れて、笑ってるのバレてるっての。
「普通に、久しぶり~元気だったかぁ~って言えないの?あんたも相変わらず嫌な男だねぇ」
「そらぁ、どうも。で、元気してるか?」
あっ、急に優しくなった。
「うん…ちょっとね。進路の事でみんなと口論になって」
「あぁ、そうだよな。一応受験生だもんな。どこの大学受けるんだ?俺は聞いてるとは思うが神戸の大学だけど」
「知ってる。でもね、私、それが大学は行かない事にしたの」
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