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夏休みに、昴は実家の愛知に戻って来て、私の家に私を訪ねてやって来る。
「いやぁ、昴さん、久しぶりっすねぇ」
弟が嬉しそうに近寄って来る。
「あらあら、本当に見違える程の好青年になってまぁ」
母も駆け寄って、馴れ馴れしく話掛ける。
「いいえ、とんでもない。御無沙汰してます。相変わらず、僕もこんな調子です」
律儀に挨拶をしている。
大人じゃ~ん!!
そんな彼の今日のご指名はもちろん!
この、ワ☆タ☆シ☆
「行ってきまーす」
浮かれ次いでで、聞いてやる。
「ねぇ、どこ行くの?」
「山奥」
「はぁ?ちょっとぉ、それって女の子の夏の薄着を狙って、もしかして、いかがわしい誘いなんじゃないでしょうねぇ?(笑)」
免許取り立ての昴は、きちんと両手ハンドルで安全運転。
「ねぇねぇ聞いてんの?私のオモシロ、ツッコミ」
「聞いてるよ。ちゃんとバカにして聞いてやってんだから、心配するな」
うげっ、コイツ、ムカツクなぁ。
「おいおい、初心者ちゃんよぉ。偉そうに言ってくれちゃってぇ(笑)」
「あんま、うるさいと山奥で降ろすぞ」
「えっ?山奥で犯すぞ?!変態!スケベ!いやらしいー!」
わざとらしく下ネタで言い返して、私は全力で照れ隠しってやつで誤魔化す。
ペラペラ一人で無駄に喋って、大袈裟に笑って隠していたけど。
昴は真面目だから、ちゃんと無言で赤面していた。
「あっ、ごめん」
ちょっと調子に乗り過ぎた。
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