1…見知らぬ男の子

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小学一年生の時に、ブランコから投げる靴飛ばしが流行っていて。 公園で弟と靴飛ばしをしていたの。 「せーの!」 「せーの!」 どっちが遠く投げれたか。 今思えば、それの何が楽しかったのか理解しがたいが。 遠く投げても、結局自分で取りに行かなきゃいけなくて、 「うぉー!二つとも、お姉ちゃんより僕のが飛んだー!」 「チクショー!」 距離の短い方が、罰として靴を取りに行く。 めんどくせぇー! いつも私と弟は、こうやって二人で遊んでいた。 ブランコをまた思いっきり二人でこいで、靴を投げる。 「せーの!」 「せーの!」 夢中になって居たから気が付かなかった。 サッカーボールが目の前を横切って、男の子がそれを追い掛けていた。 その時!… バシッ!!… 私の遠く飛んだ靴が、男の子の顔面に当たった。 「痛ってぇ!…」 男の子は顔を押さえて、その場にしゃがみ込む。 やべぇー…どうしよう。 「お姉ちゃん…やばくねぇか、あれ…顔面当たったぞ?」 弟は涙目で困っている。 そして弟はサッカーボールを取りに行こうとしたから私は聞いた。 「謝りに行くの?」 弟は不安そうに、 「謝らなきゃ可哀想でしょ?痛そうだもん…」 そう弟に言われて、一瞬自分のプライドと葛藤。 私は自分が悪くても悪くなくても、絶対に他人に謝罪はしない。 それが自分のルールだったから。 今も、若干そんな所はあるけども。
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