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弟は優しいし、気が弱いからか、すぐに謝れば、どんな事でも誰でも許してくれるもんだと思い込んでいて、情けないくらい要領がいい。
サッカーボールを取りに行って、男の子に手渡すの。
「お兄ちゃん、顔、大丈夫?痛くない?」
私は何も言えないで、弟の隣りで黙りこくる。
「僕のお姉ちゃんが投げた靴で、本当にごめんなさい」
弟が私の代わりに、バカみたいにペコペコと頭を下げる。
私は相変わらず、何も言わない。
遊んで居て、楽しかった雰囲気が壊れた事のが、私の中で重要だったのもあったから。
「ケガしてない?血、出てない?」
露骨にわざとらしく、弟は心配する。
女の子より男の子の方が、頑丈に出来てる生き物なのに、なんで弱い女の子の私が、わざわざ男の子なんかの心配なんてしなきゃならないの?
なんて、思っていたら。
「…おまえの姉ちゃん、言葉喋れねぇのかよ?」
あぁっ?!(怒)
「おまえの姉ちゃん、バカだろ。ごめんなさいも言えねぇなんてなぁ。覚えてろよ、俺の親はメチャクチャ怖いんだからなぁ、言い付けてやる!」
カチーン!!…
「私、簡単に謝ったりしないもの!」
私は喧嘩越しで言い返す。
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