1…見知らぬ男の子

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弟は、あれから私の手を離れて、すぐに永田家に行ってアイツと遊びに行っていた。 「サッカーやりにいくんだぜ」 なんて言って、小学校の高学年からの部活はアイツと同じサッカー部を選ぶから、 「ねぇ、次のサッカー部の試合見に行こう?弟が出るんだぁ」 なんて、友達を誘って行って。 いつの間にか、本当の私の目的はアイツになってた。 だってさ、カッコいいもん。 それだけ。 「あの人、いつも試合に選ばれてるよね?」 「だってカッコいいもん☆」 「えぇっ?それで選ばないでしょ」 「絶対そうだよ」 「好きなんでしょ?あの六年生」 「さぁねぇ~、どうかなぁ~」 「あっ!こっち見た!」 えっ?!嘘っ?! 私は知らん顔して、別の方を見る。 「なんでぇよ~」 友達は勿体なそうに言うけど、 「べーだ」 勿体ない!ってもちろん自分が一番分かっていた。 「なんて名前なの、あの六年生」 「永田 昴って言うの。近所に住んでてね、弟のお友達」 私が靴を投げ付けてケガをさせた人。 私の大好きな人。 ではなくて、あくまでも弟のお友達。 「もうすぐ卒業しちゃうね」 「…うん…」 だから、毎日もう学校では姿が見れなくなるから、サッカーの試合で頑張って動くアイツを目に焼き付けておきたいの。
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