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弟は、あれから私の手を離れて、すぐに永田家に行ってアイツと遊びに行っていた。
「サッカーやりにいくんだぜ」
なんて言って、小学校の高学年からの部活はアイツと同じサッカー部を選ぶから、
「ねぇ、次のサッカー部の試合見に行こう?弟が出るんだぁ」
なんて、友達を誘って行って。
いつの間にか、本当の私の目的はアイツになってた。
だってさ、カッコいいもん。
それだけ。
「あの人、いつも試合に選ばれてるよね?」
「だってカッコいいもん☆」
「えぇっ?それで選ばないでしょ」
「絶対そうだよ」
「好きなんでしょ?あの六年生」
「さぁねぇ~、どうかなぁ~」
「あっ!こっち見た!」
えっ?!嘘っ?!
私は知らん顔して、別の方を見る。
「なんでぇよ~」
友達は勿体なそうに言うけど、
「べーだ」
勿体ない!ってもちろん自分が一番分かっていた。
「なんて名前なの、あの六年生」
「永田 昴って言うの。近所に住んでてね、弟のお友達」
私が靴を投げ付けてケガをさせた人。
私の大好きな人。
ではなくて、あくまでも弟のお友達。
「もうすぐ卒業しちゃうね」
「…うん…」
だから、毎日もう学校では姿が見れなくなるから、サッカーの試合で頑張って動くアイツを目に焼き付けておきたいの。
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