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もちろん私の友達は、私が永田 昴を好きだと言う事は知っていた。
だから余計に、無理矢理こじつけて話を取り繕ってくれたのだ。
「任せて任せて♪」
嬉しいくせに私は強がる。
「余計な事しなくていいから、シーッてばぁ」
「人数多めで出掛けて、後は当日調整しながら、少しずつ外野は散っていく作戦♪」
「いいね、それ♪楽しみぃ♪」
別の友達も、他人の恋愛事になると、やたらと張り切るのだ。
「帰りは、昴くんの自転車で2ケツで帰んなよぉ?」
「そうそう、絶対家まで送ってもらいなねぇ?」
盛り上がってる中、ブッた斬ってごめんね。
「たぶん、それはないね。アイツ、性格悪いし、女子には不親切が売りだもの」
私は、簡単にアイツを優しい男だと思わせたくなくて、とんでもなくアイツを鬼だと貶してやる。
「マジかぁ」
優しくされた事は、本当にその頃は、一度もなかったから。
でも、予想外に早くはぐれてしまった時に、人混みの中で、ずっと冷静に私の側に居てくれた。
それだけで、私は優しくされた訳でもないのに、二人っきりで近い距離で居られた事が嬉しくて堪らなかった。
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