第三話【その手】

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自分が夢を見ているということは、分かっていた。明晰夢というものだ。 昔から、眠りが浅いと半分起きているような感覚で夢を見た。自分が登場人物であり、傍観者でもあるのだ。最近はこれが多い。 私はまだ小さかった。小学二年生くらいだろう。 父と母と、三人で公園に来ていた。逆上がりの練習をする私を、父がみてくれ、母が応援している。 私は懸命に力を入れるのだが、これが思うようにいかない。 夢の中では、よく走るのが遅くなったりするが、それと同じ感覚だった。 何度も挑戦し、やっと回転してみせると、母が飛び上がって喜んでいる。 父は私の頭を優しく撫で、何かを言った。
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