《夏》しゃんしゃん

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二人が更衣室に入ると 「困惑!ここがこうなって、こっちはこうで……着れないよ!」 透き通る様な水色の髪の女の子が衣装の中で悪戦苦闘していた。 一方、その近くにいる白い髪の女の子がピクピクと耳を動かしながらもなんとか着ているようだった。だが、しかし、 「シェアトさんー、それだとあの世の人ですよー。左が前なんですー。」 着物が右前になってしまっている 「えぇっ!?でもこの写真は…あ!左右逆だぁぁぁぁぁっ!!」 がっくりと肩を落として結びを解き着直す。 「なんか、ちょっと緩すぎるような…」 「雪梅ちゃん、ちょっとセクシーすぎるわよ。ちゃんとここで帯絞めをこうして、」 丸い耳がちょこんとついた真っ白な少女はずいぶん着物の前が開けてしまっており、神楽が苦笑しながら彼女の着物を整えてあげる。 「こんな感じやな。」 発色のよい黄緑色の髪をゆらし姿見に全身を映し確認をする彼女は全く問題なく衣装を着こなしていた。 「神楽様ありがとうございます。エーファ様ご自分でお召しになられるなんてすごいです。」 雪梅は神楽に手直ししてもらい、自分で着こなしているエーファを尊敬の眼差しで見つめる。 「そないなことないで。ジブン、父親が東の皇国出身やったから知っとっただけや。」 明るい愛嬌ある笑顔で謙遜するエーファ。 「む、たすき掛け、というのはなかなか難しいな。どうにも緩んでしまう。」 皆と同じ衣装を着ているはずだがあふれる凛々しさが彼女、シルヴィアを貫禄ある武人としてみせる。 「ちょっと、どうしたらそうなるのさ?」 呆れたように丹娘をみる紅鸞はこの中にいながらにして、一人狩衣に身を包んでいた。 「請願…誰か助けて。紐が絡まっちゃったよ。」 「それは大変ですーっ!?動かないでくださーい。今解きまーす。」 シェアトの様子をみていたちるだがびっくりしてあわてて、絡まってしまった丹娘のところへ来る。 神楽はそんな様子を見て、 「来て正解ね。」 とため息をついた。
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