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朝食を食べ終え片付けをする。
まだ二日しか過ごして無いけれど、もうキッチンには慣れた。
「――ずいぶん慣れた手付きだな。」
そんな私を見て驚いた様に王様は言う。
『そう?普通じゃない?』
元々、要領は良い方。
何事も、卒無くこなせる。
だからって特別だなんて思わない。
人より少し状況適応能力が高いだけ。
そんなもの、あんな状況で育ったなら嫌でも身に付く筈だから。
テキパキと片し終え、身支度を始めるた。
私はあまり化粧をしない。
異性の目なんて気にしないから、社会人として必要最低限の化粧のみ。
だから身支度も早い。
最後に昨日買った服を着て髪の毛をセットする。
セットと言っても軽くまとめるだけだけど。
『善しっ。』
「――終わった?」
彼も支度を終えていた。
「…やっぱスゲー似合ってる。」
『は?』
…何の話?
「――服。昨日買ったヤツだろ?」
『あぁ。そう。昨日の。』
「スゲー可愛い。」
そう言うとくしゃっと破顔した。
…アンタの顔の方が可愛いと思うけど。
とは言わず
『ありがとう。』
とだけ言った。
この歳になって可愛いと言われるなんて思っても無かったわ…。
そんな事より…。
私は時間を確認した。
7時40分。
ちょっと早いけど、まぁ良いか。
『じゃあ先輩、私先に行くから。また用事があったら連絡して。』
そう言って玄関に向かった。
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