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会社へ着くと待ってました、とばかりに手を離し
『――じゃあ先輩、また。』
くるりと勢いよく踵を返した。
瞬間、どんっ!と鈍い音がして私は何かにぶつかった。
「痛っ…」
『きゃっ…』
そのまま転びそうになるが、先輩が手を引き支えてくれた。
『…ありがとう。』
というか…
『すいません!!』
直ぐ様謝り、私がぶつかったであろう人を見た。
…――わぁ。綺麗な人――。
…男の人…だよね…?
「あ、坂條おはよ。」
私の後ろで王様が言った。
「あぁ。おはよう。」
その人はそう言って王様を見た後、品定めをする様に私を視て
「――ふ~ん…?お前か…。
つか、気を付けろよ。」
冷たく言い立ち去った。
・・・・・。
…何か…感じ悪い…。
まぁぶつかった私が悪いんだけど…。
…それにしてもあの人が…。
ウチの会社で貴公子と名高い、
坂條 浩人 サカエダ ヒロト先輩。
…成る程。納得。
噂と違わない美しさ。
…でも性格悪そう…。
「じゃあ、俺も行くから。」
王様が言った。
――あ、私も行かなきゃ。
『…じゃ、先輩また。』
今度は周りをよく見て歩こうとした。
『…あ。』
私の足が止まる。
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