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…―男の人って買い物苦手じゃなかったっけ…?
寧ろ王様は私より率先して、あれやこれやと選んでいた。
『―先輩、買い物好きな…の?』
「ん?嫌い。面倒臭いじゃん。長いし。」
『…?…でも今、凄い楽しそう…だけど?』
なるべく敬語にならないように喋る。
「――そりゃお前とだからだよ。」
私を視ず、服を選びながら言うと
「――愛希は何でも似合いそうだから選び概がある。」
くるり、と私を視て満面の笑顔で言った。
…―もう。ホント何なの?調子狂う…。
『…そ…か。』
思わず変な返事をしてしまう。
「…ぷっ!――お前なぁ、もっと喜べよ?」
楽しそうに笑いながら私の頭をガシガシ撫でた。
『――ちょ!?何すんのっ!』
くしゃくしゃになった頭を直しながら王様を睨む。
「そんな顔すんなって。折角のデートなんだから楽しめよ?」
…楽しむってアンタ…。
でも…、今更この人に何を言っても無駄そうだし。
…何よりこうなってしまったんだから仕様がない。
半年間、この人が飽きるまで。
…理解不能なこの戯れに、付き合ってあげるしかないか…。
『…そう…ね。』
諦めて、微笑んだ。
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