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人間とは不思議なモノで。
一度心に決めてしまえば、後は何とかなるものなんだと…。
この際、観念して、先輩との半年間を楽しもうと決めた。
そう思うと意外と楽しめるものなんだな。
…服のセンスも悪く無い。
私は王様の選んだ服を試着しながら思った。
…悪く無い、というか、かなり好み。
「…どうだ?」
カーテンの向こうから王様が声を掛ける。
『サイズもデザインもバッチリです!』
「善かった。」
試着室から出てお会計をしようとすると
「あと、2~3着は買っとけよ。」
『…え?でも…』
「良いから。」
そう言ってまた選びだした。
そのまま二人でああだこうだと服を選び、ついでに靴も揃え、気付いたら、和気藹々としていた。
…私って意外と単純だったんだな…。
そんな自分にちょっと呆れつつ
――やっぱりこの間のランチの時も思ったけど、先輩との会話は愉しい。
と改めて思ったり。
一通り選び終わりお会計へ。
思った時には既に精算は済んでいた。
『あ、払います!』
慌てて財布を取り出す。
その手を掴み
「良いから。今日は俺の奢り。」
『…でもさっきも、この間のランチも…。』
先程の薬局も、彼が全て払ったのだった。
「俺からのプレゼント。」
上機嫌に言い笑う。
…うーん。
『…―分かりました。その代わり夕飯は私がご馳走しますから。』
「…あー。はいはい。」
そう空返事をし、掴んだ手を放した。
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