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彼の家に戻り急いで支度をする。
「俺も手伝うよ。」
『でも…。』
「二人でやった方が早いだろ?」
…それもそうだ。
『――じゃあ、お願い…。』
慣れないキッチンに手間取りながら
そんな私の隣でテキパキとこなす彼を横目に
ああだこうだと料理をする。
…誰かとこうして一緒に料理を作るなんて初めて。
――何か、楽しい。
そうこうしつつ、何とか料理を完成させた。
テーブルを囲いちょっと遅い夕食。
カレーとコブサラダという無難なメニュー。
「頂きます。」
王様は嬉しそうにカレーを頬張った。
そんな彼を視つつ私も一口。
「――旨い!」
『そう?善かった。』
「今まで食べたカレーの中で一番旨い!」
そう言いくしゃっと破顔した。
『…ふっ。大袈裟すぎ…。』
そんな彼が可愛くて笑いながら言う。
だけど、自分の作ったモノが褒められるなんて初めてで、平常を保とうとしても、やっぱり嬉しい。
ついつい笑ってしまう。
「…何か機嫌良いじゃん?」
そんな私を視て王様が言う。
『え?あ…カレーが美味しくて。』
咄嗟に誤魔化す。
「なっ?旨いだろ?」
自慢気に言う。
『…作ったの私だけど?』
「――俺も手伝ったし。」
そんな子供みたいなやり取りをしながら夕食を終えた。
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