61人が本棚に入れています
本棚に追加
現れたのは…、
素人のあたしが見ても高価と分かるブランド物のスーツを着こなした、この店には明らかに場違いな金髪イケメン紳士。
「連絡お待ちしておりました。…で、部屋を探していらっしゃると言うのは、こちらの女性ですか?」
「そ、そうです!!条件にぴったりでしょう!?」
なぜか一人興奮する不動産屋。
「主人に聞いてみないと分かりませんが、おそらく彼女で大丈夫でしょう。」
「は、はい!!ありがとうございます!!」
不動産屋は深々と頭を下げた。…理解不能なんですけど。
「では、お嬢さん。ついて来なさい。…荷物はそれだけですか?」
え?…ええっ!?
「あ、あの…あたし、まだ何とも…いや、それ以前に家賃とか色々っ…!」
「ご心配には及びません。お嬢さんがお気に召さない時は、いつでも契約を破棄していただいて結構ですから。」
は、はあ。…いや、そうじゃなくて!!
あたしは目線を送り、不動産屋に助けと説明を求めた。
しかし、不動産屋は男から紙切れを1枚受けとると、もうあたしの事なんて忘れてしまったかのようだった。
仕方なく、あたしは男の後について行った。
荷物を持っていかれてしまったから。
最初のコメントを投稿しよう!