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目の前でさえよく見えないほどの豪雨。
傘もささずに立っている俺の目の前にいる二人。
まもなく二人は走りだすだろう。
一人は右手に見える横断歩道へ。
一人は左手に見える工事現場へ。
そして俺はまた、何度目この言葉を口にしたかわからないが、こう呟くしかないのだ。
「また駄目だった...。」
右手からは車のクラクションと急ブレーキ、そして何かがぶつかる鈍い音が。
左手からは金属がぶつかりあい地面にたたきつけられている鋭く劈くような音が。
たったの数十秒程度の間ではあったが。
何度も何度も何度も聞かされたこの音が、また俺の耳に響いていた。
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