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「うー……」
如月アルは小さく低い声で唸った。
彼は時々、DOGのように唸るという習性があるが、その意味合いは異なる。
アルの場合、DOGのように威嚇のため唸るのではなく、困った時に口から漏れてしまう口癖のようなものだ。
「日本に来たのはいいけどお金がないよ。どうしようか、ハーミー」
ハーミーはDOGなので人語を解さないが、自らのハンドラーであるアルの気持ちだけは寸分違わず理解することができる。
しかしそれでもDOGにどうこうできる問題ではないので、「くーん」と主人に合わせて困り声を上げることしかできない。
「日本に来たら、叔父さんとの約束をブッチして“FREE-TA”というのになって一生フラフラ生きてやろうと思っていたけれど、まさか“GE-CEN”がこんなにお金を吸い取られる場所だったとは。こんな恐ろしい国で定職にも就かず遊ぶことはできない。仕方がない、叔父さんの言っていた学校に行くとしよう」
アルは公園のベンチから腰を上げ、スーツケースと大量のぬいぐるみの入った袋を手に、ハーミーを引き連れトボトボと歩き出した。
日本帝国立ハンドラー学院。
ここは将来様々な分野で活躍するハンドラーを育成する帝国唯一の国立校で、本来小学六年生の時点で才能を認められた者しか入学を許されない超エリート校である。
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