第1章

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敏史、弥生、俊哉の住む家は二階建て。ちなみに、徳山さんが住んでいた隣の家も二階建てである。二軒とも建て売りではなかったのだが、びっくりするほど外観、間取りも、内装も、外装もほとんど同じである。 一階は主にリビング、キッチンが間取りの大半を占めている。そして、敏史と弥生の寝室は二階、同じく俊哉の部屋も二階にある。 俊哉は、狭いアパート暮らしのときから、自分の部屋がほしい、一人部屋がほしい、プレステ4がほしいとしょっちゅう言っていた。 なので、よほど一人部屋が嬉しかったのだろう。アパート暮らしのときは、一人で寝るのが怖い怖いと言っていたが、マイホームが完成し、一人部屋が手にはいると、アパートのとき、一人で寝るのが怖いと言っていたのは嘘のように、一人で寝ている。 そして、さきほどリビングで三人仲良く会話していた日の夜、俊哉は両親が寝静まった午前二時、まだ起きていた。 翌日が休みということもあるが、カーテンの隙間から隣の家をみていた。隣の家は、同じ二階建てで、同じ建築会社の建て売りではないかと思われるくらいよくにている。 俊哉は、敏史が幽霊嫌いということを聞き、隣の家に幽霊が現れるのではないかと思い、カーテンの隙間から隣の家の二階を見ている。 隣の家は、空き家になっているので、カーテンもとられ、中は丸見えとなっている。 俊哉はリビングにある発光量が多い電灯をとってきて、隣の家の二階の窓を照らす。中が見える。もちろん、昼間ほどみえるわけではないが、ピンポイントを照らして見ることができる。 (幽霊いたら、電灯で照らしたらよけい見えなくなるかな?) そう思い、電灯を消し、暗闇の中、隣の家の二階の窓を観察する。とりあえず、電灯で照らさなくとも、外灯の明かりで、目が慣れてくると、けっこう見えるものである。 俊哉は、なにかが見えたときに備えて、小型双眼鏡を用意している。100円均一のものだが、なかなか精度はいい。 俊哉は、眠気がピークに達していたが、隣の家に何かが起こるような気がして、どうにか起きていた。 (あ、あれ?) そのとき、隣の家の二階に明らかに異変が起きたのである。
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