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一ヶ月後、要田一家は念願のマイホームへと引っ越しをし、ある程度の片付けを済ませ、のんびりとしていた。だが、念願のマイホームとあり、敏史、弥生、俊哉の三人は高揚を隠せない。
「パパー、ベランダでキャッチボールしよう!」
「俊哉、元気だな。んじゃ、ベランダに出るか。」
敏史がそう言うと、俊哉は我先にといわんばかりに、ミットとボールを持って外へ出る。
「パパー、おとなりさんのおうちも完成ちかいの?」
「うん。引き渡しもおわったみたいだし、来週中には越してくるんじゃないか?」
「おとなりさん、子供いるかな?」
「わかんないな~。ん?いたら、俊哉は何をしたいんだい?」
「友達になりたいに決まっているじゃん! そしたら、たくさん遊べるしね! パパなんかいなくたって、キャッチボールしまくりだよ!」
「パパもそのほうが楽で助かるな~。んじゃ、キャッチボールでも始めるか。」
「パパ、キャッチャーね! おもいきり投げるからね!」
「バチこーいっ!!」
「パパ、古いよ。面白くないよ!」
そんな会話をしながら、敏史と純哉はキャッチボールを始めた。弥生は、その光景を笑顔で眺めている。
マイホームを購入し、幸せな要田一家。しかし、その幸せな家庭に静かに黒い影が、不穏な雲が忍び寄っていることはまだ知るよしもない。
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