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不動産との会話が肝心なところで途切れてしまったモヤモヤがあるまま、夜を迎え、寝室へ弥生とはいり、いつもどおりダブルベッドに二人は横になる。
「なあ、弥生。」
「なあに?」
「あのさ、徳山さんたちちゃんと隣に越してきていたよな?」
「もちろんよ。特に徳山さんちの太一くんと俊哉は仲良しだったじゃない。」
「だよな………」
「あなた、どうしたのよ?」
「うん。今日さ、徳山さんが住んでいた家に不動産がきていて、その不動産の人と話したんだ。」
「徳山さんがなんで急にいなくなったかわかったの?」
弥生は身を乗り出して聞いてきた。やはり、気になっているようだ。徳山さんたちが急に姿を消した理由を。
「いや、理由は聞けなかった。」
なんだといわんばかりに弥生は乗り出した身を、所定の位置に戻し、寝る体勢に入る。
「でも、不思議なことは聞けたよ。」
「えっ? なあに?」
「不動産の人がいうには、あの家には持ち主は一度も住んでいないみたいなんだ。」
「どういうこと?」
「分からない。徳山さんが一ヶ月前にきて、すぐに引っ越したことを言ったら、不動産が持ち主は一度もここには住んでないみたいなことをいったんだよ。」
「あなたの聞き間違いじゃないの?」
「違う。それを聞こうとしたら、不動産の人に会社から電話かかってきて、そこまでしか話せなかったから、真相はわからないけどな。」
「その電話、タイミング良すぎたりしなかった?」
「まっさか。偶然だろ。」
「そうよね。じゃあ、あの家の持ち主は誰? 新築した家に持ち主じゃない人が住むってあり得ないわよ。」
「そうだ! 家をつくるとき、建築中はたしか施主とか現場監督の名前、看板に書かれているけど、弥生、あの家が作られているときそれを見たか?」
「見てないわ。だって、自分たちの家が完成間近だし、見る気もおこらなかったわ。あなたは?」
「いや、俺も弥生と同じで見てない。というか、見たけど気に止めなかったから覚えてないかな。」
「やっぱり、そうよね。でも、考えても仕方ないことだわ。そろそろ寝ましょ。」
そういうと、弥生は電気を消し、数分後、二人は寝息をたてはじめた。
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