7人が本棚に入れています
本棚に追加
自分でもわかるほど僕の顔から血の気が引いて行くのがわかった。
「僕はどこにいた?」
「だからこっちが聞きたいんだってば。」
僕は走って自分の部屋へと階段を駆け上がった。携帯の電源をつけて、チャットルームのアプリを開こうとする。が、いつまでたっても開かない。
「早く、早くしろ。」
画面をタップする指が止まらない。サイトが見れたと思えば、真っ赤な字で『error』と表示される。何回試しても、時間をおいても表示された。最終的には画面がerrorの文字で埋め尽くされ、真っ赤になっていた。
僕は驚いて携帯を落としそうになるが、慌ててキャッチした。アプリは強制終了され、勝手にメールボックスが開いた。震えた手で受信ボックスをタップして中を見ると、返信のしていないメールの中に一つ、未読のメールがあった。
「送信者...誰だこいつ...。」
送信者の名前には『姫』とだけ書かれていた。メールアドレスを見ようにも、なぜか見れなかった。メールを見ると文字がない状態で、メールアドレスを間違えて売って送信したのだろう。そう思ってメールボックスを閉じようとしたときだった。内容が書かれていなかったはずの文面に、一文字ずつ言葉が打たれ、変換され文になっていった。だが日本語でも、英語でも、他の国の言葉でもなかったのだ。「読めねぇよ...。」とボソっと呟くと、携帯から女の人の声が聞こえてきた。小さすぎてよく聞こえなかったが、『あなた』と『救う』と『ごめんなさい』という言葉だけは聞こえた。
「何なんだよ...。謝られてもわかんないっての...。」
僕の脳内は完全パニックになっていて、何も考えることができなかった。
ただただその携帯が怖くなって、手に持っていた携帯を下へ投げつけた。幸い、クッションの上に落ちたようで、小さな音しかしなかった。
もう、夢としか考えられなかった。鮮明すぎるかもしれないが、夢と思わなければ可笑しくなってしまいそうだった。
僕は半泣きになりながらもベッドに横になり、再び眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!