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あれから一週間たっていた。
携帯からもパソコンからも、あのチャットルームに行くことはなくなっていた。 あの夜、自分の身に何が起こったのか、自分でもわからない。叩きつけられるような痛み、自分が家から消える、起きたら屋上に居たなどの全く考えつかないことが起きたあの日。毎日欠かさずにやっていた天体観測、両親が帰ってくるまでやっていたパソコン、妹に頼まれていたゲーム。すべてやめてしまった。
ご飯も食べず、部屋からも出ず、布団の中でただ目を開けて一日を過ごし、夜になれば眠る。そんな一週間を過ごしていた。
「久しぶりに....やるか...。」
没収期間が終わったため、携帯はいつも手元にある。久々にチャットルームのアプリを開くと、ログイン画面が出てくる。IDとパスワードを入力すると、久しぶりの背景画面が出てきた。少し安心するような、恐怖心がまだある様な。というかんじだった。
履歴から自分のいたルームを探すが、履歴はなく消えていた。
「消したのか...?」
いやでも、ルームは管理人だけしか消せない状態になっている。僕が入った時は既に、管理人は居なくなっていた。検索のところからルームを探す。
「あ、あった。」
名前は変わっていなかった。一週間で履歴がリセットされてしまうのだろうか。
少し深呼吸をしてからルームの名前をタップする。右上には赤い字で小さく、五。と書かれていて、満員になった。
『よぉ、久しぶり!』
陽が一番最初に気付き、美和、佳怨と続いた。その後、またも佳怨のようなかわいらしいアイコンに吹き出しが出て、『はじめまして』と表示された。
『はじめまして。』
陽から話を聞くと、あの消えた管理人らしい。なぜか消えた理由は教えてくれないらしいが、元気に話しているらしい。僕自体、そんなに管理人の事を知っているわけでもないし、知りたいわけでもないのでどうでもいいのだが...。
僕はあの夜起こったことをメンバーに話した。すると以前、管理人も同じ体験をしたことが分かったのだ。特に何をしたわけでもなく、何かあった日でもなかった。だがその夜に石を頭にぶつけられる痛み、体への衝撃、屋上で眠っていたことなど、すべてが一致した。管理人も屋上に言った覚えはなく、家族総出で探されたらしいが、どこにもいなかったらしい。
「あ、そういえば管理人の名前聞いてなかった。」
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