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この日も、夢を見た。ふかふかな土の上に立っている気分で、にぎやかな声が聞こえる。もしかして、僕は死んだのか。いやそれは困る。
「....しもー....」
「....い...」
「..おき...」
何人かの声が間近で聞こえる。僕に話しかけているのだろうか。瞼を開けようにも、重くて開かない。眠いわけでもないのに。
「早く起きんかあああい!」
「へぶんっ!」
僕の体は誰かに蹴りあげられた。空中に浮いたかと思えば、少し音を立てて着地する。地面がふかふかでなければ、もっと体が傷んでいただろう。正直、蹴られた場所のほうが痛い。その痛みのおかげなのかどうかはわからないが、瞼が軽くなり、目を開けることができた。
「...ってて...誰ですか僕の体を蹴りあげたのは...。」
目を擦りながら起きあがり、目を開ける。周りには、見たことのない男女が膝をついて僕を見ていた。一人の女の子が僕の顔や体を見て「大丈夫?」と心配そうに首をかしげる。
「あ....えっと、大丈夫。」
知らない女の子にいきなり声をかけられ、僕のコミュ症メーターがグンとあがる。黒髪のセミロング、髪の先は内向きになっている。薄ピンクのパジャマらしきものを着ていて、目は二重。すべてまとめて見ると、人形のようなかわいらしさだった。
「お前が一番起きるの遅かったぞ!そら!」
「って言われても...。ってなんで僕の名前知ってるんだよ。」
さっきからいろいろ可笑しい。僕のおなかを蹴りあげたり、いきなり話しかけてきたり、お前呼ばわりしたり...。こんな顔知らないぞ。
「あの....誰?」
僕がそう言うと、周りの女子三人と男子一人はきょとんとしたあと、大きな声をあげて笑った。男子の笑い声が五月蠅いにもほどがあった。
『豚みたいな笑い方しやがって...。』
ひき笑いをしているためか、たまに豚声が混じっている。体格が豚と言う訳ではないため、豚と言う印象を打ち消しているが、まぁ声は似ている。
「とかそんなんじゃなくて...。教えてくれよ、お前らは誰でここは何処だ。」
「まぁあせらないで聞いてください。」
先ほどの女の子が僕を落ち着かせる。
「私は美和です。この子は霊羅。」
その子は、少し茶色がかった髪をポニーテールをしている女の子に手を当てた。
「それで、こちらが陽君。」
背の高い、少しチャラそうな男子。先ほどの豚声とは全く印象が違う。
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