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「で、さっきそら君を蹴りあげたのが...あ、ちょっと!佳怨ちゃん逃げないで!」
大声を出して名前を呼んでいる先には、黒いロングの髪の少女がいた。その少女は僕の目の前に来ては目を逸らし、ブツブツと何かを呟いている。右目には眼帯をつけている。また、キャラが濃い。
「改めて。この子が佳怨ちゃんだよ。」
一通り自己紹介が終わったものの、僕の頭の中では整理ができず、ちんぷんかんぷんだった。
「あの...チャットルームの...?」
このメンバーの名前と言えば、あのチャットルームしか思い浮かばなかった。
「そうだよ!」
美和がニコッと笑った。
「あ、あとここって...。」
「それは俺らにもわかんないな!」
ハハッと声をあげて陽が笑う。先ほどとは違って爽やかな笑顔を見せるのだが、妙にイラついてくる。
「あとお前、宙で合ってるよな?僕って言うのやめろよ...」
「はいはい、わかったよ。」
僕は陽の言葉をふさぐようにして返事をした。前にも話しただろうが、この熱血タイプは苦手だ。顔などは爽やかで優しそうに見える割に、口を開くとすぐに熱血キャラになる。図々しくてたまらない。
「はいは一回!」
「いだい!!」
佳怨が僕の頬にビンタを食らわせる。さっきの蹴りと言いビンタと言い、こいつの力は知れたものじゃない。チャットルームでもそうだったが、間近で見てもっと謎めいてしまった。クールだと思っていたのに服装はきちんと女子らしいし、お母さんキャラ...だし。でも蹴りとビンタは男子並み。もうキャラが個性的すぎて頭に入りきらない。美和が一番あり得そうな女子...。いや、管理人だ。管理人が一番良そうな女子の雰囲気を醸し出している。茶髪がかったポニーテール、大人っぽい顔、黒のジャージ。休日の学生みたいな感じだろうか。まぁちょっとばかりだらけた雰囲気があるが...。だとかそんなことは今関係ない...訳ではないのだが、今いる場所だけでも把握したかった。
僕はジャージのポケットに入っている携帯を取り出した。
「ほええええ!それがスマホってやつ?」
美和が食いついて僕の携帯を見る。
「え、あ、ああ...。」
美和の目はキラキラ輝いていて。触らせてほしいという感情が伝わってきた。
美和にそのスマホとやらを触らせてやると、もう大興奮だった。これでも、同じ年なんだな。
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