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と誇らしげに美和を見ていると、横から「変態」と呟かれた。この声質と発言の言い方からして、佳怨であろう。もうこいつの言葉にいちいち反応しないようにしなければ、メンタルがやられる。
「ねぇねぇ、宙君。何もつながらないよ~。」
美和は僕に携帯...スマホを渡すと、涙目で僕を見た。
「壊れたわけじゃないって。ネット繋がらないだけだよ。」
そのあと美和は「あぁ、良かった。」と笑顔を見せた。
....ネットが繋がらないってことは何も調べられない。ここがどこかもわからないってことか。
「なんなんだよここ!」
チャットルームのメンバーがなぜここにいるのか、という疑問を忘れ、大声で叫んだ。すると何かが反応したのか、周りが白から黒に変わり、スポットライトのようなものが、ある場所をさした。その場所は少し遠くて、何がいるかははっきりしないのだが、人らしき人物がいることが確認できた。
「女子だな。」
佳怨が少々ドヤ顔で言う。目が良い事を自慢したいのか。ほう、なら褒めてやろうじゃないか。
「お前の祖先ライオンか何かか?目、良すぎるわ。」
僕も少々ドヤ顔で言った。佳怨は少し黙った。どうだどうだ、僕でもやれば...。
「何言ってんだ、お前。」
「....。」
傷つけてるわけではないのだろうが、この僕には相当なダメージだった。引き攣り笑いをしながら、どうやってこいつを倒すかを考えた。
「ねぇ、喧嘩してる場合じゃなくて...。」
管理人が僕たちを引きとめた。喧嘩してるわけではなかったが、相性が合わない佳怨と喋らせるのは...とでも察したのだろうか。
「どんな感じの、女の子なの...?」
美和が佳怨に問うと、佳怨は黙りこみボソボソと何かを言っている。
「....そっか、近くに行かないとわかんないよね...。」
「なっ!言うなって言ったのに...!」
僕は思わず、「ぷっ」と吹いてしまった。先ほどまでのドヤ顔は何処に行ったんだか。
「わ、笑うなよ...。」
めずらしくも佳怨が頬を膨らませていた。相変わらずキャラが不安定だ。
「わかったよ。笑わないよ。」
僕はそう言うと、遠くに見える少女らしき人物に近寄って行った。
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