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いつもの見慣れたトップページで、ニュースを見終わると、お気に入りのタブからSNSのタブ、チャットのタブ、ゲームのタブを開き、同時進行を始める。
同時進行を始めてしばらくたった頃、ドア越しに電話の音が聞こえた。誰からと思い見に行けば、学校からだった。仕方なく受話器を手に取ると、担任の声が聞こえる。
「もしもし?空君?先生だけど。」
中学にもなって名前呼びとはいかがなものかとも思うが、他の生徒にもそうしてるらしいのでほおっておこう。ついでに担任は新任女教師で、当たり前だが当然若い。まだ学生気分が抜けていないのか、生徒とも親しく子供のようである。
「何ですか。」
「何ですかって....。今日も来ないの?」
「行きません。」
「行かないって...。もう入学式が終わって2ヶ月経ってるのよ?皆待ってるし...そろそろ...。」
先生のお世辞にも慣れた。僕が行かないのは虐められていたからだと言うのに、待ってるやつなんかいないのに。先生はいじめを隠した。だから僕は、引き籠ったんだ。なのになんだ、皆が待っている?そろそろ?ふざけたもんじゃない。
先生の言葉に呆れ、思わず口には笑みがこぼれ、笑っていた。
「ははは....てめぇとアイツらのせいでこうなったっていうのに戻るわけねぇだろ。もう電話してくんな。」
一方的に電話を切ると、パソコン室に戻る。
新しいチャットサイトに登録をするために、個人情報を打ち込む。
『名前:天海空、性別:男 生年月日:2×××年10月27日、職業:中学生』
「っと....。ハンドルネーム何にするかなあ。」
大体のチャットやSNSでは、同じ「そら」の呼び方で「宙」としている。いちいち名前を考えるのは面倒だし、バレやしない。
「もう、宙でいいか....。」
ハンドルネームの欄に「宙」と打ち込み、プロフィール画像を転送する。
何気に楽しみにしている自分がいる。先日テレビで特集をされていて、この自分でもやっていなかったものだから、気になってしょうがなかったのだ。
面白そうな人、同士がいそうだ。
登録が終了し、鼻歌交じりで楽しそうなチャットルームを探す。
「.....見つけた......ニート学生集まれ...。」
偶然にも、自分ピッタリのチャットルームだった。
ルームに入ると、最初に居た2名が「こん」とあいさつをしてくる。親近感のわく人たちだ。
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