プロローグ

4/4

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
バラバラになったパーティーが集まったのは、一つの重厚な両開き扉の前だった。 物音や気配が一切漏れてこないにもかかわらず、その扉の向こうからは凄まじいプレッシャーを感じる。 重くのし掛かるようなそれは、本能が扉を開けること、部屋の中に踏み入れることを危険だと警鐘を鳴らす。 と同時にこの部屋の中に存在する何か、もしくは何者かがこの異変に関わっていることを確信するには充分だった。 勇者は深く息を吐き、パーティーを見る。 それにパーティーが頷きでもって返し、万が一に備え魔法使いと僧侶が全員に最上級防御魔法と加護を幾重にも重ね、戦士と元義賊が防御の構えをとる。 それを見届けた勇者は己の魔力を最大限に高め守護陣を敷くと、扉に手をかけ、ゆっくりと押し開く。 その僅かな隙間から見えた紅い瞳と――目があった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加