日常化しつつある非日常

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身体に染み付いた習慣とはなかなか消えないものだ。その習慣に押し潰されそうになりながらも自分の目で世界や真理を見ようと旅立った仲間を想う。 最後に見た彼らはそれぞれに決意を秘めた目で笑っていた。 ――元気にしているだろうか それが顔に出ていたかはさだかでないが、バァルハイトさんは仕方ない奴だと苦笑をした。 「積み重ねてきたことを全て捨てろとは言わないが、初対面でいきなり神級魔法と禁術を仕掛けて殺そうとした奴に礼儀を尽くすのはどうなんだ」 「アハハハハ……」 乾いた笑いしかでない。 バァルハイトさんの言うことは最もなことだ。初対面で殺されかけた相手に対する対応ではないだろう。あの時のことは思い出すたびにヒヤリと背筋が寒くなる。 「……まぁ、基本的には良い方、ですから」 あるひとが絡まなければ、とは言わなかったが、察したらしく「あの重度を超えて末期で極度のブラコンとヤンデレも基本スペックだと思うがな」と言った。 無知は罪だと言ったひとがいたが、世界には知らない方が良いことだってあるのだ。 たくさん。
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