第1章

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 いつの間にか。  あれほど澄んでいた青空が紅く変わっていた。  どれ程独りで歩いていたのだろうか。  部屋に籠っているのが嫌で出て来た筈なのに、一向に晴れないままの靄が心臓の辺りで渦を巻いていて。 「おねーさん、今暇?」安い言葉に、気が付けば、ピンク色のネオンが眼に飛び込む。  このまま、この人に着いて行ってしまえば、何か変わるのだろうか。  ふ、と、そんな事を思ってしまう。  友達と一緒なら、笑ってあしらえたのだろうけれど、今の私は表情を失くしたまま、無視を決め込んだ。  後ろから、罵声に似た声が飛んできた気もしたけれど、何も感じなくて。  賑やかな其処が嫌になって、また一つ、角を曲がると。  父親を、見つけた。  ……見つけてしまった、と言うのが正しいのだろう。  大きな縫い包みを嬉しそうに抱えた女性と歩く、その横顔は、笑み。 「……あぁ、そう言う事、か。」  納得してしまえた。  その後の事は、よく、覚えていない。  気が付けば、家の前でドアノブを回していた。  母は、買い物に出かけているようで、鍵が掛かっていた。
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