第1章 悪魔のセールスレディー

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はああああああああああぁ。 ため息しか出ない。 あと5分したら、 学校に行く時間。 友人のさくらが迎えに来る時間。 憂鬱だ。 ノロノロと支度をすまし、 重たい体(体重も重い)をひきずりながら、 階段を降りる。 「おはよう。 でぶすネェ」 朝っぱらから優雅にコーヒーなぞ飲んで、 弟がくつろいでいる。 あぁ、 見てるだけでイラつく。 兄弟なのに、 まるで似ていない。 認めたくないが、 かなりのイケメン。 そいつからでぶすネェ呼ばわりだ。 悔しい。 私だって好き好んで、 こんな容姿に生まれたんじゃない。 「うるせぇ、 タリン君」 タリン君とは、 この弟のこと。 哀しいかな、 顔はぴかイチでも、 少々足りない。 だから、 たりん君と呼んでいる。
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