プロローグ

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 ――この世界は、一体何の為にあるのだろう。   「ふわぁ~~!」  早朝から晴れている春のとある日、少年はいつものように大学への道を歩いていた。特に、目的があるわけでもなかったが、まだ働きたいと思ってはいなかったので、とりあえず家から一番近い大学に進学した。  その大学は、たまたま少年が受かることが出来るレベルの大学で、たまたま特に悪くも良くもない大学であった。 「朝から眠そうだね? 寝てないの?」  道を歩く少年に声を掛けて来たのは、1人の少女。  彼女は、少年の幼馴染で彼女もたまたま同じ大学に通うことになった。小、中、高と同じで尚且つ大学まで一緒とはこれもまた腐れ縁という奴かと少年は日々感じていた。 「ん、昨日はオールでカラオケだったしな」 「へぇー、そうだったんだ。女の子もいたりしてー」 「いたけど……別にお前にカンケーねぇじゃん」   漫画や小説の世界では、幼馴染と付き合っていたりとか、そういうのがよくある設定だけど現実の世界では、そうはいかない。    少年と少女は特に付き合っているわけではない。過去にはお互い別の人と付き合っていたりしたこともあった。ただし今は二人共付き合っている人はいないが。    ただ、少女は昔からおせっかい焼きと言うか、人のことを気にする方の人間だ。だから、少年のことも家が隣と言うことだけでなく、昔から何かと気にかけてはいた。少年はそんな少女のことを少し鬱陶しい思いながらも、特に文句を言うわけでもなく受け入れていた。 「あ、直也!」  少女が名前を呼び、直也と呼ばれた少年が答える。 「なんだよ?」 「私、あなたとのんびり話してる場合じゃなかったんだ。大学から出されたレポートの提出をしなきゃ駄目だから先に行くね!」 「あーいけいけ」 「うん。じゃあまた大学でねっ!」  そう言うと少女は、大学へ向けて駆けて行った。  少女と別れてからさらに20分ほど歩くと、大学が視界に入ってきた。そのすぐ近くには、東京のシンボルでもある東京スカイツリーが建っている。  2012年に完成した東京スカイツリーは8年経った今でも東京のシンボルであり、立派な電波塔として成り立っていた。日本が世界に誇る巨大電波塔である。
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