パン屋のある街。

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パン屋のある街。

『今日やって来たのは、森がある街です~』 テレビ画面の中で、キツネのポシェットをかけた女が森の中を歩いている。 『今日はどんな出会いがあるか楽しみですね~』 「何が『楽しみですね~』だよ」 ふわふわした足取りの女を見ながら、バイト先のまかないを突いていた俺は思わず毒づいた。 『パンも良いし、クッキーやコロッケ・・・美味しいものが待ってると良いな~』 画面は女しか映っていないが、おじいさんのような声が合いの手に入った。 『めぐたん、そんなにいつも食べていると太ってしまいますぞ』 『あら、レディにそれは禁句よ。いつも散歩してるから大丈夫♪』 びしっとカメラに指を差して、たしなめてみせる。 一体何がどうしてこんな番組が放送されてんだ、と俺は深夜のアパートで一人頭を抱えた。
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