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温泉のある街。
翌朝。
ケータイが鳴って目が覚めた。
知らない番号だったが、とりあえず通話ボタンを押すと興奮した様子の男の声がしてきた。
「小塚くんか!?」
「はい、そうですけど・・・」
寝起きで頭が働かず、ぼんやり答える。
「コンコンテレビの藤森だが、昨日は本当に助かったよ! 夕方来られるか?」
「はい、もちろんです!」
プロデューサーだと分かって一気に覚醒し、思わず正座してしまう。
「じゃあ夕方」
「はい! よろしくお願いします!」
ケータイを切ると、ほうと気が抜けた。
画面を見ると、10時を回ったところだ。
「おはよー、良かったじゃな~い」
ニヤニヤと笑う声が後ろからしてびっくりする。
「お前な・・・背後に回るな」
「別にイイでしょ。アタシがどこにいたって」
俺が座り込んでるせいで、めぐたんとばっちり目が合う。
はぁとため息を吐いた。
幼女姿のコイツは、狐塚めぐみ。
名前の音が同じだからとかいうせいで俺に付きまとって、挙句の果て、命狙う宣言。
この気ままワガママな狐の妖怪(らしい)に、俺の気持ちを分かれって言うのがムリな話だ。
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