温泉のある街。

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「ねー、お腹空いたー」 妖怪でも腹が減るのか。 霞かなんかを食べて生きてるんじゃと思ったが、そういえば、昨日もパンやらジュースやら飲み食いしてたっけか。 めぐたんはベッドの上に座って、昨日のように足をぶらぶらさせている。 「朝飯にするか。昨日蘭が作ってくれたつまみに、いなりずしも入ってたし」 冷蔵庫に向きかけた背中に言葉が飛んできた。 「アタシおいなりさんきらーい」 「は?」 キツネといえば、油揚げ。油揚げといえば、キツネ。 そうじゃないのか? 「昔イヤってほど食べさせられたから、食べ飽きちゃったのよね~」 偏食!? いや、飽食か? 赤いそばだって上に油揚げのってるぞ。 「でも、おいなりさんって神社とかも言うし・・・」 「と・に・か・く! いなりずしはヤなの。アタシは昨日のパン食べるから良いわよ」 よく分からないが、そんなもんなんだろうか。 蘭の作ったつまみのタッパーと残ってたパン、ジュースの残りを持ってちゃぶ台に置く。 「食えるもん食え」 「いただきまーす」 まぁ俺としてはパンを食べなくても済むから助かるが。
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