第一章

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「聞きました?また、人斬りですって。」 「それも生き残った一人が言うにはよくわからなかったと言っているそうね…」 女たちはまるでいつも起こっているように話す。 他人事のように、噂話のように… 「ねぇ、それが起こったのは何処?」 男は女たちに尋ねる。 一人の女は北の方角を指差した。 男は頭だけ下げて、その方向へと歩き出した。 人斬りが起こるようになったのはここ最近だ。 それもいつも決まって真夜中に起こる。 斬られるのは男ばかり。 それも、刀を持ち歩く武士。 人斬りは何を目的として斬っているのか。 男はそれを確かめたかったのだ。 そして、真夜中。 満月が真上に上がる頃だった。 「ギャアァァ!!」 男の悲鳴が響いた。
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