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右腕が使えなくてもまだ左腕は動く。
そして、口だって足だって動く。
動ける限り、凛は斬る。
「ひっ…!ひぃぃ!!」
凛は指揮官の首をくわえていた懐刀ではねた。
兵たちの前に転がる首は一気に士気を下げた。
兵たちは退散し始めた。
凛は追わなかった。
「く…くそぉぉ!」
そのうちの一人の兵が逃げ際に発砲した。
それは凛の左肩へと当たった。
凛はついに刀をも握れなくなった。
けれど、そんな機会があるとも知らず必死に兵たちは逃げた。
刀は地面へと突き刺さった。
凛はくわえていた懐刀も落とした。
「ははっ……。赤いね…。」
チリン___
凛の目の前に何処からともなく現れた二匹の黒い猫と白い猫。
首には鈴をぶら下げている。
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