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◇◇◇
時は流れ、明治二年。蝦夷地。
旧幕府軍は戦場を転々とし、最後の地蝦夷地にいた。
土方もまた此処にいた。
「副長!お茶、お持ちしました!」
騒がしく入ってきたのは小姓の市村鉄之助だ。
まだ小さく、顔つきも幼く見える。
「今日も聞かせて下さい!"緋色の狐"の話を!」
土方は煙草を吸い、煙を吐いた。
そして、お茶を一口飲んでから話し始めた。
市村はこの話が好きだった。
いつか、自分もこうなれたらとずっと思っていた。
いや、こうなってもっと副長に認めて貰うんだって思った。
「あれは____」
土方はまるで自分のことのように話し始めた。
あれは、本物の武士だと。
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