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甲斐甲斐しく椅子を引いて父を座らせると、今度は俺のワインを奪う。
「ほら、今度はお前。
今日の主役だろうが」
そう言うと眼鏡を奪われ、髪をくしゃくしゃと掻き回される。
「うん。お前はオールバックは似合わねぇな。軽く流すだけにするか」
「……好きにしてくれ」
そう投げやりに返すと、うきうきとワックスを手に掬い取り出すと手のひらに広げだした。
こいつの世話焼きは今に始まった事ではないにしろ、なんだか落ち着かない。
それに今日のパーティーはあのビルができた事の祝賀会だから俺は悪までも来賓。
父もだ。
「なんで瀬渡も今日来るの?」
ついそう口から溢れると、吉村は愉快そうに言う。
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