side 愁也

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本当に関係者だけのひっそりしたパーティーで、どこかの有名なデザイナーがデザインと修復工事をしたレトロな邸で行われた。 一千人は来ていたかもしれない。 しっとりと、騒がしい時間からかけ離れた空間に、次々に高級車が停まり、美しい景観は損なわれていく。 ビッフェ形式の食事に、壁には椅子が並べられ、 人が溢れかえりなかなか身動きはとれない。 先ほど、部下をセクハラしていたクライアントだった男の社長から謝罪と、新しく引き継いだ女性のスタッフと挨拶を交わした。 一通り挨拶を終えた時には、無理に笑おうとした頬の筋肉がひきつってピクピクと痛んでいた。 人と関わるのはあまり好きではない。 ――それはアイツも一緒だと思っていた。
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