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「女装が平気って事は、もう大丈夫だよね」
吉村の車を見送る兄さんの背後に立つが振り返らない。
「なんで俺の前に、……いや、真宮事務所の前に現れたんですか?」
「さぁ。兄さんに会いたかったからじゃない?」
夜の真宮事務所はしぃんと静まり返り、外から見ても真っ暗だった。
一階にあったコンビニは無くなり、代わりに24時間のドラックストアが入っている。
「でも俺はもうお前の兄でも何でもないでしょ?
『瀬渡』さん?」
「……怒ってるね」
フッと笑うと、整った切れ長の目がキッと上に上がる。
「やっと忘れてたのに。やっと乗り越えようとしていたのに!!
お前が瀬渡の養子に入り、真宮事務所の仕事を奪っていくなんて思わなかった!!」
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