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見開く瞳孔が、不規則に揺れる。
「サイコーに刺激的で、サイコーにゾクソクする、とんでもなく上等な女だ。
アンタの言う幸せなんて、目じゃないね」
その瞳を捕らえながら。
自分でも制御しようのない、この溺れた感情を水野に伝える。
「…………そんなの、冴島君のエゴだわ」
声は弱々しく震えているのに、合わせた視線は、どこまでも強気で。
俺を許さない。
「彼女の未来、縛り付けてることには変わりないじゃない!!
可能性、全部奪うんだよ?そんな権利、冴島君にあるの?」
「ナイよ」
「彼女は、その年代で経験しておいた方がいい恋愛、冴島君のせいでできないんだよ?
他の人、誰も知らないまま冴島君がすべてのまま大人になるなんて、そんなの彼女が可哀想!」
感情的になったせいで、充血し、潤む瞳。
「それも、分かってる」
「分かってない!!」
水野のよく通る声が一段と大きく、闇夜に響く。
「何も分かってない!!
本当に分かってるなら、手放すべきよ!
それが大人の配慮でしょ!?優しさでしょ!?」
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