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機織りをいつもしている店の主人に届けものを頼まれた。
「ちるさん、これを花村の女将に届いてくれるかい。」
「はーい!」
風呂敷を受け取り、出かける。
*******
おつかいを終え、店への帰路につく。出迎えてくれた女将の帯が美しく、目を引いた。
「あんな綺麗な帯、どうやってできてるんでしょう~?」
自分もいつかはあのような上質なものを織れるようになりたいと思った。そうして、注意力が散漫になっていたからだろう…――――
―――人とぶつかってしまった。
ドンッ
「っ…!!」
「いってぇっ!骨が折れたかもしんねぇ!ちょっと姉ちゃん、どうしてくれんだぁ!」
……からまれてしまった。所謂、チンピラというもの達のようだ。
だが、絡んだ相手が相手、ちるは真面目に大慌てである。
「(骨折!?た、大変ですー!!)」
絡まれるなんて経験をしたことがないのでありがちな台詞を本当だと思い焦る。
「えっ!?大丈夫ですか!?えとっー診療所はーどこでしょう?運びますー!」
16歳の少女がチンピラを抱える。
……少々、いや、かなりシュールではないだろうか。
言われたチンピラも予想を斜め上に行く反応で固まる、が、すぐに、立ち直り怒声をあげた。
「ああ!?舐めてんのかてめえっ!!さっきからヘラヘラ笑っていやがってっ!!」
男が拳をふるう。
「えっ!?」
とっさのことでちるは反応が遅れる。来るだろう痛みに目をつぶった。
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