第1章

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「胃腸科の日下先生にカルテ回して。」 看護師に指示を出す。 「念のため、胃腸の検査もしましょう。」 私は立ち上がると、日下に内線をかけた。 「よお、忙しいみたいだな。」 受話器から、軽い調子の声が聞こえてくる。 「ああ、悪いが検査を頼む。」 「また、例の症状か?」 「そうだ。」 「分かったよ、結果はそっちに回せばいいな?」 「頼む。」 ここのところ、自閉症圏の患者には、腸の検査をお願いする事にしているので、 日下も心得ているらしく、短い会話で済む。 看護師に、患者を胃腸科へ案内させると、数日前の検査結果が戻って来ていた。 ザッと目を通す。 アレルギー検査結果は異常な数値は出ていない。 …が、胃腸科の検査結果は問題だらけだった。 (やっぱりな…。) 私は検査結果をファイルに戻すと、再び診察に戻った。
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