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なぜ俺が兄の部屋を片づけなければいけないんだ…。
兄は現在県外の大学にいる。家にはいない。いるのは俺と、
母の2人だけだ。親父は数年前に死んだ。
「あ~めんどくせぇ!!」
俺…”日崎 将太”は、文句をぶーぶー垂れながら兄の
部屋を掃除していた。
散らばった雑誌や小説を綺麗にしたり、掃除機をかけたり、
布団を整えたり…これじゃあまるで執事だ。
「ったくクソ兄貴…覚えてやがれ…。」
兄貴は健全であったのだろうか…?エロ本が一冊も見つか
らない。
「将太~終わったら降りてきてね~。」
「はいはい…。」
もう7時。夕飯の時間だ。こんなにも時間のかかる部屋片
付けは初めてだ。
15分後。俺は兄貴の部屋を一通り片付けた。まだ埃とかが
気になるところだが…とりあえずは一掃した。
「あ~疲れた…。」
俺は首をポキポキと鳴らしながら階段を下りた。リビング
には、ハンバーグとサラダがあった。
「今日はハンバーグか…。」
母は既に飯を食べ終わり、書き物に熱中していた。最近、や
たらと書き物に没頭している。
「いただきますっと…。」
俺は箸を持ち、ハンバーグを口に運んだ。冷たっ!
冷えてやがる…そりゃそうか、15分も放置してるんだし…。
「…まあいっか。」
レンジで温めるのもめんどくさかったので、将太は気にせず
冷めたハンバーグを食べ続けた。
「ごちそうさまでした。」
将太は台所に食器を戻すと、いつものように何も言わず一人
で外に出た。
これは毎日の日課である。夕飯を食べ終わると、必ず外に出て、
30分ほどあたりを散歩する。
暗くなった夜道を歩くのが好きなのだ。
「明日は学校休みだー!きたこれ…。」
明日は土曜日。今日のイライラと疲れでだいぶ憔悴しきっている。
明日はゆっくりと体を休めよう。
ここ一週間は、高校のテストだのスポーツ大会だのでいろいろと
忙しかった。
「明日は一人だし…家で何しようかな…。」
歩きながら考えたが、休日を過ごすいいアイデアが思い浮か
ばない。
このままでは、せっかくの休日を無駄にしてしまいそうだ。
まあ、ずっと寝ていればいいか…。
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