先生と僕

10/23
前へ
/91ページ
次へ
「そうか。それはよかったよ、優…。」 先生はたまに僕を下の名前で呼ぶ。そんなときはいつも照れくさそうだ。 濡れながら僕たちは駅に着いた。すいている各駅停車の電車に隣同士に座った。 「先生は奥さんいないの?」 「いないよ。どうして?」 先生は笑っていた。 「いないだろうなあって思ってたけど、聞いてみた。なんだかまだまだ若そうだから。」 「いやあ。もうすぐ32歳だよ。ちょうど、時川達の倍だな。」 先生はなんだか可愛く見えた。それから僕たちはまたいろいろな話をして、それぞれの家に帰った。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加