先生と僕

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梶本先生だ。 先生は僕に気付かず外に出ようとしている。僕は葛藤した。盗難の疑いをかけられた上、部長に嫌なことを言われて気が参っていたんだ。先生にそのことを言って、慰めてもらいたかった。 涙が出てきた。声も出てしまった。砂を軋ませる音がこちらに近付いてくる。梶本先生の優しい手が、僕の頭を撫でた。 「どうしたんだ?優。」 僕は泣いているせいで、言葉を発することができなかった。 「ここで待っていて。」 先生は一度姿を消したが、すぐに戻ってきてくれた。手には鍵がある。 「数学準備室においで。話を聞くから。」 先生は僕の背中を押して、2階にある準備室に向かった。
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