先生と僕

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梶本先生とは家の方向が同じだった。朝はよく会うから、一緒に学校に行くこともあった。下校途中に会って、食事を奢ってもらったこともある。生徒の中で、梶本先生とこんなに仲がいいのは僕だけだ。 「違うのに。ただ親しいだけで、付き合ってるとか、成績上げてもらってるとかそんなことはないのに。」 僕は階段を踏みしめながら歩いた。職員室に行く用事があった。 「先生……。」 職員室の扉をノックしようとすると扉が開き、体育教師のようにかっちりした体格の梶本先生と鉢合わせに。 「よう時川。今朝は会わなかったな。」 先生はにっこり笑い職員室から出てきた。入口近くにある担任の席にプリントを置くと、僕はすぐに廊下に出た。
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